exhibition/event - 2014 展覧会・イベント(2014年)
01■1月18日(土)〜2月8日(土)11〜19時/日曜・月曜休
松尾竜平個展" TOBIRA"
松尾竜平は、生まれ育った北海道の風景に影響を受け、作品制作をしています。
しかし、身のまわりの自然を写すのではなく、作品には、インターネットや雑誌を介して繋がった別の世界が巧みに組み込まれています。
当ギャラリーもインターネットを通じて作者を知り、コンタクトを取ってきました。
ときおり宅急便で届く作品を前に、そのときどき、今はどのメディアの扉を開き、どの世界と繋がっているのだろうかと思い巡らせてきました。
本展は、京都での初個展です。継続中の風景シリーズに加え、人種やその他設定が不確かな、未知の人々を描く「顔シリーズ」もあわせてご紹介いたします。
「糸山」"2013年/162×162cm/キャンバスに油彩
02■2月12日(水)〜3月1日(土)11〜19時/日曜・月曜休
香川裕樹「配置と放置」
'88年香川県生まれ。京都造形芸術大学空間演出デザイン卒業。
身辺にあるモノには、古びて他のモノとの関係を失った製品やその部品、元の魅力や媒体としての時事性が損なわれた写真、飽きられたり廃棄された雑貨・置物などがあります。
香川裕樹は、そのように放置されていた膨大なモノを収集。感性にしたがって再配置を繰り返し、あらたなモノをつくることを試みています。
香川の生み出すモノの集積は、すなわち作品です。
しかし、それは、元の用途や機能や意味の再生や再配置ではなく、非常に意図的な「モノの意味の放棄」に見えます。
インターネット多用時代の今、香川は、触覚や質感を頼りにモノを探っています。
それは、これまでの美術にとってあたりまえなのですが、身体が直接モノに触れつつも、美術的<意味や意図>を放棄するということは、もはやアナログとデジタルの横断などではなく、これまでの美術史を放棄することと近く、美術が、香川のような世代とともに、次代に向かってさらに変容しつつあると感じるのです。
そのような予感にもとづき、香川裕樹の個展を開催することにいたしました。実作品と、「画像化した作品(写真作品)」の計約20点により、会場構成します。(松尾惠)
「配置の入ったカゴ」2014年/120×164.3cm/λプリント
03■3月21日(金・祝)・22日(土)・28日(金)・29日(土)11〜19時
予告編春展
今年じゅうに当ギャラリー・その他での個展やグループ展、アートフェア出展などの予定がある作家の新旧作品、マルチプルの展示・販売をいたします。
展示数は、約50点。
4日間だけの展示ですが、新旧の作品をご覧いただける機会です。ぜひお出かけください。
浅野綾花(銅版画)、伊東ちひろ(テキスタイルと原画)、大友一世(油彩=11月個展)
岡崎友里(漆)、小野紗雪(写真=5月個展)、川原恵吏佳(ミクストメディア)
キタミノル(ミクストメディア)、小畑公未子(タブローと鋳造作品)
坂本優子(水彩=7月アートフェア)、下出和美(水彩のドローイング)
妹尾夢子(麻紙に水干絵具など)、タテヤマアヤナ(インクなどによる絵画)
唐仁原希(ドローイング=7月〜「美少女の美術史」出展ほか)、桃楽盧杏 (インクなどによる絵画)
西村勇人(写真=4月個展)、藤場美穂(写真=4月グループ展)
福永晶子(エッチング=7月アートフェア)、湊茉莉(リトグラフ)
吉田沙織(和紙+顔料=10月個展)ほか。
福永晶子「あの娘の言うことには」
9×15cm(イメージサイズ)/ エッチング・ドライポイント、阿波紙 / 2014年
04■4月15日(火)〜5月26日(土)
展示室A
「これからのそれから 2014」
展示室B
05■西村勇人写真展 "Cool Physics"4月15日(火)〜26日(土)
06■小野紗雪個展4月29日(火・祝)〜5月10日(土)
西村勇人写真展
西村勇人は、2010年より、自然科学の研究現場の撮影に取り組んでいます。
"Cool Physics"と題する今回の個展では、核融合科学研究所・高エネルギー加速器研究機構・理化学研究所などの物理学の研究現場で撮影した写真8点(各900mm×600mmおよび1580mm×1170mm /デジタルピグメントプリント)を展示します。
西村は、「研究現場は物々しい実験設備や思考の痕跡で満たされており、そこで目にする物はことごとく研究実施上の意味を帯びていますが、専門外の人間にとって、それらの持つ意味は閉ざされていて、ある種の秘術が行われる場のようにさえ感じられます。」と言います。
核融合科学研究所の大型ヘリカル装置では、関係者以外、容器内部に立ち入ることが不可能に近い中、西村は、少人数に限って設定された見学会に参加する機会を得て、容器内部や研究者のポートレートの撮影を行いました。大型ヘリカル装置は、実験や作業などの年間スケジュールが明確に決められており、普段は真空である直径13.5mの容器が大気圧に戻されて保守や改造が行われる期間の合間に開かれた見学会で、クリーンルームと同様に、西村は防塵服をまとって撮影を行いました。
一般人のアクセスが不可能な場所は数限りなく存在します。西村勇人"Cool Physics"シリーズは、そこへのアクセスを重ねるという冒険であり、人類の進歩にとって物理学が秘術であり続けることへの寡黙な監視であるのかもしれません。研究現場や装置に神秘的な美しさを認めるいっぽうで、彼が凝視する<囲われた現実>を私たちに提示してくれます。
大型ヘリカル装置内部で撮影する作者(手前)
「これからのそれから2014」
20〜40代の写真作家、現代美術作家10名による。すべてプリント。
個人という小さな存在は、歴史の中で彷徨や流浪を繰り返しています。
芸術は、流浪する小さな存在である<個人の記憶>を記録へと転換する役割を持っています。
彷徨の軌跡や、記憶・記録の作業としての写真表現により、本展を構成しました。
出展作品について:
浅野豪 ASANO,Takeshi 高度な技術を用い<白紙>を撮影。
地と図が交差する視覚的な意図に加え白紙は記憶や実体の欠落に見えます。
東愛実 AZUMA,Manami サイアノタイプ=青写真・日光写真の特性を生かし、記憶の底を探るかのような
表現をしています。
岩崎正嗣 IWASAKI,Masashi かつてCGによりRGBで表された自画像をCMYKに振り分け、自身が記号とし
ての配列のみへと解体→再生されています。
オカモトアユミ OKAMOTO,Ayumi 剥製、皮、動物など、日常の中の非日常をとらえる6点。
小川しゅん一 OGAWA,Shun-ichi 既製品や出来事を加工する手法の作家。<牡蠣>を凝視、肉薄したモノ
クロとカラープリント。
奥村元洋 OKUMURA,Motohiro 昨年の本展には夜の温室を8×10で撮影した大作を展示。今回も、ふだん
人が立ち入れず共有しがたい空間と時間を提示。4×5での撮影。
金サジ KIM,Sajik 儀式的な装飾の人や鳥。不連続な架空の歴史のような提示。
小竹登里佐 SHINO,Torisa 家族とともに住んだデュッセルドルフ、六甲アイランド、京都それぞれの過去
/現在の同一の場所を1対に提示。とりわけ、地層というものを持たない埋め立
て地(人工島)では、地表の人工物の盛衰のみが時間を表すばかりです。記憶を
辿る私的な試みである反面、大きな意味の国屋文化などの居場所探しと同質であ
ると感じさせます。
藤場美穂 FUJIBA.Miho 携帯電話の赤外線機能を利用したポラロイドプリンターによる。空間や時間の不連
続、整合性を混在させた組写真です。
牧野和馬 MAKINO,Kazuma 京都を歩き、ただそこにある「壁」を撮り続けています。記憶を寡黙に証明す
るような「壁」と市中を散策(彷徨)する作家が本展の象徴のひとつです。
2015年5月個展予定。
奥村元洋「大阪ガス狭山営業所 #1」インクジェットプリント+ポリマウント加工、1100×1370mm、2014年
小野紗雪個展
身辺の風景の写真に透明アクリル版を重ね線や図形を描くシリーズと、鏡を用い、鏡に映る実際の景色とドローイングが融合するインスタレーション。
風景をレイヤーに解体する作業であり、不可視のレイヤーを見いだすことでもある作品です。
(参考画像)
「朝のさんぽ」λプリント、アクリル絵具、アクリル板 / 328×328mm / 2013年制作
07■5月20日(火)〜6月7日(土)11〜19時/日・月休み
[光は曲がらない 4 lessons of phography]
井上明彦 INOUE,Akihiko
佐藤博一 SATO,Hirokazu
三嶽伊紗 MITAKE,Isa
山口良臣 YAMAGUCHI,Yoshiomi
誰もが光の直進性を知っている。
光はまっすぐに進み、レンズで屈折して写真になる。
幾つかの幸運が重なって実現したこの展覧会で4人の出展者は、
そんな当たり前のことから写真について考えた。
※ 展示作品はすべてエディションをもたない作品です。
※本展テーマにあわせた4作家の小品セット(限定5セット)を販売します。お問い合わせください。
井上明彦「二面性」2012年(参考作品)
佐藤博一「未知へと向かう構図」2013年(参考作品)
山口良臣「転位 / 04」2014年
三嶽伊紗「遠景の座標―2011」ピンホール写真 / 2011年(参考作品)
08■8月26日(火)〜9月6日(土)11〜19時/8月31日(日)・9月1日(月)休廊
「再燃焼展」
主催:サイネンショー(代表=松井利夫)
助成:京都府平成26年度文化力チャレンジ補助金
※特別イベント:「サイネンショーのうつわ晩餐会」@hale
※上村博(京都造形芸術大学)によるテキスト:こちらへ
※サイネンショー活動年表
特別イベント:「サイネンショーのうつわ晩餐会」@hale
日 時:2014年9月6日(土)19:30-21:30
会 場:晴(hale)
京都市中京区錦小路通麩屋町西入ル北側魚屋町 ※弊ギャラリーより徒歩8分ほど
参 加 費:お1人¥6,000 ※haleのお料理、サイネンショーの酒器1ケお土産付
予 約 制:定員12名 ※先着順
09■9月9日(火)〜20日(土)11〜19時/9月14日(日)・15日(月)休廊
「杉浦美江三回忌記念 もう一回観たい作品展、おまけつき」
杉浦美江周辺の人々の作品と、杉浦の遺した作品の数々を展示します。
出展:今村遼佑、大塚朝子、杉浦美江、鷹取雅一、西上翔平、法貴信也
※杉浦美江(1980~2012年)資料
※展示作品↓
「神殿の像」
発泡スチロール、スプレー塗料ほか / 約250(h)×180×180cm/2011年
10■9月23日(火・祝)〜10月4日(土)11〜19時、最終日20時まで「ニュイ・ブランシュ2014」
9月28日(日)・29日(月)休廊
現代美術二等兵「駄美術展〜ネオ民芸〜」
近頃巷の雑貨好きから人気急上昇の昔ながらの民芸品。
「民芸品ならワシらやろ!」の根拠の無い意気込みで駄美術的解釈の民芸品を制作。
民芸品への造詣は浅いが、表層的なリスペクトは熱い駄美術一筋22年の現代美術二等兵が送る「ネオ民芸」
新作中心に約10点を公開。
不思議で奇妙な民芸ファンタジーを是非お楽しみください!
11■10月11日(土)〜11月1日(土)11〜19時、日曜・月曜休廊
吉田沙織個展 sense of touch
吉田沙織は、京都造形芸術大学日本画コースに学びながら、空間や身体への関心を持ち、インスタレーションやパフォーマンスにもかかわった経験を持ちます。
本展は、吉田沙織の絵画作品による初の個展です。
大学院修了の2011年から主題としてきた「身体で見る絵画」にテーマを絞り、最近の「喪失して尚、混在する。mixed with loss.」シリーズから新作のみを展示いたします。
これらは、今年1月の福島および5〜7月の長野での滞在制作の経験から、直接的に、また間接的にそれぞれの山地から影響を受けた作品群です。
「喪失して尚、混在する。mixed with loss.」シリーズの作品は、支持体である板の木目をなぞることから始まります。
吉田は、「絵画はつまるところイリュージョン(幻想)を見ることにあって、描けば描く程に元の存在は消え去る」と言います。
物質としての支持体や画材・絵具は重なりあって(もしくは崩れた)、作品の完成時には、そのどれでもない新しい存在(作品、またはそれを観ること)を暗示しています。
吉田沙織:1985年富山県生まれ、2014年「第32回上野の森美術館大賞展〜優秀賞フジテレビ賞」ほか受賞、グループ展多数。当ギャラリーのメンバーアーティストによる常設&オンラインショップA3 projectにて吉田沙織をご紹介しています。
「喪失して尚、混在する。#16 mixed with loss.」33.3×24.2cm / 板に天然顔料、金箔、銀箔 / 2014年
12■11月11日(火)〜22日(土)11〜19時、16日(日)&17日(月)休廊
大友一世個展
大友一世は、絵画制作におけるリアリティーのもっとも重要なファクターとして「色」を挙げます。
キャンバスのサイズ、形の起こし方、道具類の選び方にも、大友独自の工夫を重ねながら、最近では、これまでよりも、油絵具という物質そのものの特性に深い関心を持ち、混色に集中しているといえます。混色するほどに黒に近づく中で、大友は、絵画制作の動機である自然への憧憬を保ち、黒へと突き進んでしまわぬよう、画面やパレット上での微妙な混色を繰り返すという非常に抑制された作業を重ねています。本展では、その過程と現時点での成果というべき、紫色を基調とする連作、青・赤・黄三原色それぞれを基調とする3点の2つの空間をつくります。
2007年修士課程修了後、他の若手作家と同様に会社勤務をしながら、大友は、一時の中断もなく絵画制作と発表をつづけてきました。持続する熱意とともに、目前の大きな変化を予感し、当方での2度目の個展を開催いたします。
大友一世:1982年京都府生まれ、2007年京都嵯峨芸術大学大学院芸術専攻造形絵画修士課程修了。在学中より個展、グループ展などの活動を継続。常設&オンラインショップA3 projectにて作品を常時ご紹介しています。
" color scape 2014 S/A #01 "(部分)130×140cm / キャンバスに油彩 / 2014年
13■12月02日(火)〜23日(火)11〜19時、日曜・月曜休廊
共同アトリエ蓮華荘" RENGE SHOW "
蓮華荘は、京都市山科の住宅地にある共同アトリエです。
絵画を中心に制作する京都市立芸術大学出身者6人:阪本結、唐仁原希、松本和子、村田香穂理、山名彩香、油淺頌子の6人が運営しています。
本展は、それぞれの制作現場と作品を公開するオープンスタジオと異なり、はじめて6人の作品がひとつの空間に並びます。
大学卒業後のひとつのよりどころとしての共同アトリエの存在とともに、それぞれに活躍しはじめた6作家をご紹介いたします。
最終日17時〜19時、6人全員がそろってパーティーを開きます。
年末のお忙しい時期とは存じますが、蓮華荘メンバーとお会いいただける良い機会ですので、ぜひご来場ください。
(飲物付¥500)
再来年7月、弊ギャラリーは開設30年を迎えます。本展"RENGE SHOW"から、案内状デザインを統一することにしました。
各展案内状は、先で刊行する限定<本>の1ページとなります。
<本>には、いろいろなご協力者による展覧会写真やテキストなどを加わえ、30年の記念とさせていただく予定です。
案内状デザインの提案者:デザイナー集団UMMM(ムム)と、本へ至る共同作業です。